波布神社(浮島様)
 下田市役所の北側に松の大木の生い茂ったお宮がある。
寝姿山を東に、下田富士を西にみるこのあたりを、原田田圃といって以前は広々とした田圃の中に波布姫を祀った波布神社の森がこんもりと茂っていた。
 波布神社は、もと伊豆大島の波布神社の分祠で昔は大島から毎年3斗の、御供米の奉納があった。
 安政元年11月4日、下田大津浪の時、千石船が何破かこのお宮の上手まで押し流されて来たが、不思議なことにこの神社の境内には少しも水がのらなかったという。今でも「浮島様」と呼んで、土地の人たちや船に関係のある人達から崇められている。
 下田八景の一つで「波布の落雁」として歌や句にも詠まれた有名なお社である。
下田市の民話と伝説 第1集より