身がわり地蔵さん
参照 下田市教育委編「しもだ」
高根山の地蔵さまについてはこんな言い伝えがある。
むかし、公範阿闇利(こうはん あじゃり)という憎が諸国をめぐり、河内に来たとき、この山をながめ、これこそ仏の道をさかんにするよい所であると、山のふもとに小さな家を建て、その中で石の地蔵さんを作り、山の上のお堂におさめました。
ある年ふもとの村々に「ほうそう」が流行し、小さい子供たちが大変苦しみました。
これを地蔵さんは山の上から見ていて、かわいそうに思い、子供の身がわりとなって病気をなおしてやりました。
しかし自分がこんどはほうそうにかかり、みにくい顔になってしまいました。
これを知った村人は、気の養に思い、美しい金の地蔵を作つて今までの地蔵を向陽院におろしました。ところが住職の夢枕に石の地蔵さんが現れて、「高根の山に登りたいjとお告げになったので、村人は石の地蔵さんを山へかえしたそうです。
 それからこの地蔵さんは、山の上から海をながめ航海の安全を守りつづけていると伝えられています。
下田市の民話と伝説 第1集より