共通市章

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令和4年度施政方針

 令和4年下田市議会3月定例会におきまして、令和4年度各会計予算並びに各議案の御審議に当たり、新年度に向けた施政方針を申し上げ、市民の皆様並びに議員各位の御理解と御協力をお願いするものでございます。
 
1 はじめに
 新型コロナウイルスは、その形を変えながら、長い間、世界に、そして我が国にも暗い影を落としています。本市においても、黒船祭が2年連続で中止となったほか、医療や学校現場、観光業などでも多くの人々が苦しい暮らしを強いられています。
 しかし、そんな中でも、東京五輪、北京五輪が開催されました。感染対策を徹底し、工夫に工夫を重ねてのオリンピックは、世界中の人々に勇気と感動を与えてくれました。スキーもスノーボードもカーリングも、それぞれ素晴らしいシーンを見せてもらいましたが、私がとりわけ感動したのが、羽生結弦選手の4回転アクセルです。
 天才であり、かつ努力家の羽生選手が、足の痛みに耐え、大きな重圧を背負いながら「ジャンプ」した。その瞬間、世界中の人々が、メダルより大切なものがあることに気づき、そして涙したのではないでしょうか。「挑戦する勇気」。この言葉を、あの青年から私たちは学んだと思います。
 昨年は、下田市にとって市制施行50周年の節目の年でした。先の記念式典において、これから先の未来に向けて新たな第一歩を踏み出すべく、みなとオアシスの登録、御用邸所在地友好都市協定の締結、下田グローカルCITYプロジェクトといった未来への希望につながる苗を植えたと申し上げました。
 新型コロナウイルスをはじめとするたくさんの課題に対して、勇気をもって挑戦し、市民の皆様とワンチームとなり、これらの苗を育てていきたいと思います。


2 社会情勢に対する所感
 日本のみならず、世界中の国々の最重要課題は、新型コロナウイルスへの対応です。
 ワクチン接種の推進により、ほぼ以前の形態に近い生活に戻った国がある一方、まだまだ感染拡大が収まらない国も少なくありません。世界経済の動向も、先行きの不透明感が拭えない状況となっていますが、急速に開発が進む治療薬が実用化されれば、このコロナ禍収束への大きな一歩となると考えます。
 国内に目を向けますと、昨年10月に発足した岸田政権は、このコロナ禍に打ち克つため、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」により、停滞した経済の再生に取り組むとしています。この「新しい資本主義」の主役は地方であるとして、成長戦略の第1の柱にデジタルを活用した地方の活性化が挙げられており、今後益々社会のデジタル化が進んでいくと思われます。
 また、コロナ対策とともに世界共通の課題である気候変動への対応は、環境保全のために取り組むべき大きな課題であるとともに、世界が注目する成長分野であり、地方にとってチャンスとなる可能性も秘めています。2050年のカーボンニュートラルの目標実現に向けた取組は、エネルギー供給構造の変革だけでなく、産業構造や国民の暮らし等、地域の在り方全般にわたる経済社会に変革をもたらし、デジタル化の推進とともに、地域の新たな産業・サービスの創出に寄与するものと期待されています。
 このように、新たな技術の開発や変わりゆく地球環境の中で、社会・経済・環境の3側面から、誰一人取り残さない持続可能なより良い未来を築くことを目標としたSDGsの取組は、さらにその必要性が高まっています。今も、様々な分野でその取組が進められることによって、消費動向にもSDGsの概念が反映されるなど、人々の価値観にも変化をもたらし、社会全体が新たな価値観に基づく世の中へと変化しつつあり、この新たな時代の流れに伴う社会情勢の動向を注視してまいります。


3 令和4年度の市政の方針
 昨年、市制施行50周年を迎え、令和4年度は、新たな未来に向けて第一歩を歩みだす1年となります。
 さて今、ウクライナ侵攻等、国際情勢が不安定な状況となっており、一日も早い平和的な解決が世界中で希求されています。これまでのどんな時代でも、混乱する社会の中で大切にされてきたのが教育です。本市は、幕末にアメリカやロシア等諸外国との交渉に端を発する国際交流の歴史をつないできたまちとして、世界平和の一助となる市民レベルでの友好的な交流を継続するとともに、国際社会を的確に捉え、民族や言語、文化等の違いを理解し、尊重し合うことのできる国際感覚を有した人材の育成に取り組んでまいります。
 本市は、このような歴史的背景とともに、ペリー艦隊の乗組員たちが絵のような美しさに嘆声を発したと言われる自然景観を活かし、観光業を基幹産業としておりますが、第3次産業を中心とする本市の経済構造は、移動制限を伴う新型コロナウイルスの影響を大きく受けています。デジタル技術は、時間や場所といった地方に不利な条件を越え、新たな未来を創り出す手段の一つとして期待されており、デジタル格差に配慮しながら、市民の皆様の生活の質と利便性の向上を図るとともに、ウィズコロナ社会のまちづくりに向けて、観光資源ともなり得る農林水産業の振興や、新たな観光スタイルの構築等、本市の産業の在り方を検討し、様々な課題を解決する手段として活用を進めてまいります。
 目まぐるしい環境の変化に伴い、複雑性が増し、将来の予測が困難な現代社会においては、様々な技術を活用して、多様化する課題やニーズに柔軟かつ迅速に対応するとともに、変化に流されない確固たる基盤が必要となります。市制施行50周年を契機として、未来に向けて植えたいくつかの苗は、先人たちが築き上げてきたこのまちの土壌の上で、官民・市内外の垣根を越えたつながりのもと、やがて大きな幹となり、その枝葉から生まれる花や実が、このまちの土壌をさらに豊かなものにしてくれると思います。未来に向けて植えた苗に、デジタル技術という新たな栄養を加え、地方の豊かさはそのままに、利便性と魅力を備えた個性あふれる地域の実現に向けて着実な第一歩を踏み出す1年となるよう、市政に努めてまいります。


4 令和4年度の予算編成方針
 続きまして、令和4年度の予算編成方針について、御説明申し上げます。

(1)本市の財政状況と、令和4年度予算編成の方針
 本市の令和2年度決算では、経常収支比率、実質公債費比率等といった主要指標に若干の改善がみられたものの、財政の弾力性の判断指標となる経常収支比率は、依然として85.8%と高い状況にあります。また、一般会計の地方債残高は16年ぶりに100億円を超え、103億円となりました。今後、市庁舎建設事業、広域ごみ処理施設整備事業等の大型事業を実施するに当たり、地方債に依存しなければならない状況にあることから公債費の増大が見込まれることに加え、経済活動の停滞による市税の減収、社会インフラの維持更新費用の増加等大変厳しい状況にあります。しかしながら、どんなに厳しい状況下においても第5次総合計画をその指標とし、持続可能な市政運営を実現していかなければなりません。
 令和4年度予算の編成に当たっては、今一度原点に立ちかえり、最少の経費で最大の効果が発揮される効率的かつ合理的な予算にするとともに、未来につながる、希望を抱くことのできる予算といたしました。また、予算編成のテーマとして、引き続き下田市総合計画に掲げるまちの将来像より“つながる”と“ウィズ・コロナ”に加え、市制施行50周年を契機に表明した“グローカルなまちづくり”の3つをテーマとして事業を選定いたしました。



5 令和4年度の主要な取組
 続きまして、令和4年度の重点施策及び第5次下田市総合計画のまちづくりの4つの柱に沿った主要な取組について御説明申し上げます。

重点施策
 (1)新型コロナウイルスへの対応
 重点施策の一つ目は、「新型コロナウイルスへの対応」です。
 現在、感染拡大の防止及び重症化予防の観点から、3回目のワクチン接種を進めており、医療従事者や高齢者に続き、一般の方への接種を進めていますが、オミクロン株の亜種の出現も報告されており、新たな課題に対しては、感染状況を注視し、国・県と連携を図りながら感染防止に努めてまいります。
 また、全世界的な感染対策の推進により、新型コロナウイルスの発生直後に比べ、経済の回復の兆しはみえているという意見がある一方で、社会環境の変化に合わせたこれまでとは違う経済対策が必要であるとの見方もあります。観光業を主体とする本市の経済も、長引くコロナ禍の影響により今もまだ大きな打撃を受けており、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源として、プレミアム商品券の発行やOTA等広報強化事業による市内経済の維持・回復に取り組むとともに、コロナ禍に対応した観光客の受入体制の整備に向けて、経営改善事業補助金や夏期海岸対策事業、外ケ岡交流館環境整備事業を実施し、内需・外需の拡大に取り組んでまいります。

 (2)下田グローカルCITYプロジェクト
 重点施策の二つ目は、「下田グローカルCITYプロジェクト」です。
 本市は、幕末開港の歴史を活かし、幅広い分野・幅広いレベルで国際交流をつないできたまちであり、他のどの地域にもないこの国際交流の歴史は、「まちの財産」であります。
また、半島の先端という本市の立地は、経済的に不利な条件である反面、多くの自然に囲まれた魅力的な地域性を有しており、近年の社会環境の変化に伴う働き方や生き方の変化に対して有利な条件であると言えます。
 この国際性と地域性という本市が持つ2つの特性を活かし、国・人種・言語・文化等の違いを受け入れるとともに、このまちへの誇りと愛着を併せ持った「グローカル人材」の育成と協働により、人・モノ・地域といった横のつながりと、過去から未来への縦のつながりを作り、持続可能な新しい未来の下田の創出に取り組んでまいります。

 (3)新庁舎建設
 重点施策の三つ目は、新庁舎建設です。
 令和3年度に実施した現庁舎安全性調査や稲生沢中学校耐力度調査、有識者との検討を経て、稲生沢川の浸水対策や財政面の課題等について、一定の方向性がみえてまいりました。新庁舎移転までの利用者の安全性確保を図るため、庁舎西館及び別館の耐震補強と、稲生沢中学校施設を活用した一部先行移転に着手し、令和7年度の事業完了に向けて整備を進めてまいります。
 また、庁舎移転後の跡地については、新庁舎との連携のほか、住民と観光客双方の交流やにぎわいの創出に寄与する活用を図っていきたいと考えておりますが、本市の中心的な場所であり、現在進めている立地適正化計画の策定及び伊豆急下田駅周辺整備計画の検討状況と整合を図りながら、今後の利活用について検討を進めてまいります。

まちづくりの柱
 (1)美しく生活しやすいまち
 本市を支える基盤である自然や歴史、文化等は、社会環境がいかに変化しようとも守り続けていかなければならない貴重な地域資源です。この環境を維持し、他にはない魅力として磨き上げていくため、海の環境整備を基軸としたSDGsの推進に取り組むとともに、歴史的風致形成建造物に対する助成等により、本市の景観保全に努めてまいります。
 南伊豆地域広域ごみ処理事業については、施設整備に向けた事前調査に着手するとともに、循環型社会の実現のため、1市3町が連携し、住民と一体となった4Rの推進に向けた合意形成を進め、今後、地球規模での環境問題に対して、その動きが本格化してくる脱炭素社会の実現に向けた様々な取組について、国や県と連携を取りながら、環境保全に向けた対策を検討してまいります。
 また、行政・医療・福祉・商業などの都市機能や居住機能の適正な誘導と、道路網や公共交通の連携を図るため、立地適正化計画及び第2期地域公共交通基本計画を策定するとともに、本郷橋耐震補強工事、伊豆縦貫自動車道の早期全線開通に向けた用地交渉や関係機関との調整等のインフラ整備を推進します。
 このほか、社会生活をより便利で快適にするための取組として、市政情報発信のメインツールであるホームページのリニューアルやオンライン手続システムの導入を行うとともに、市民の誰もがデジタル技術を便利に活用できるよう、高齢者IT機器導入支援事業を実施し、生活環境の改善に向けた取組を進めてまいります。

(2)郷土への誇りと愛着を育むまち
 感染拡大を防ぐためとはいえ、学校休業や様々な行事が中止となるなど、子どもたちにとって新型コロナウイルスは大きな負担となっています。このような状況の中、多様化する学校現場への対応、児童・生徒の学習や安全を確保するため、特別支援教育支援員を拡充するほか、学業に遅れを来さないよう、十分な感染予防対策とともに、アプリ・メールによる学校と家庭との連絡手段の拡充、またタブレット端末を活用した授業を行うなど、GIGAスクール構想を推進してまいります。
 また、令和4年度より、市内4中学校が統合となり新たな下田中学校が開校となります。新中学校では、国が進める部活動改革の先行事例として、部活動支援員の任用や休日の部活動支援業務の委託を行い、これまで以上に学校と地域スポーツ組織との連携を図り、今後本格化する部活動の地域移行化に向けた調査研究も行うほか、中学校統合に伴う通学補助制度の拡充や小中学校通学路の安全対策を実施し、保護者の負担軽減と安全・安心な通学環境の整備にも努めてまいります。
 子育て支援については、育児用品購入費や子ども医療費の助成、中学校就学準備給付金の支給に加え、利用ニーズが高まっている放課後児童クラブについて、市内全学区の児童が利用可能となるよう、これまで未開設であった白浜小学校に開設するほか、子育て世代テレワーカー育成講座により、育児と仕事を両立できる働き方の実現を図り、子育て環境の充実に取り組みます。
 このほか、教育・地域・行政関係者で構成された「未来の下田創造プロジェクト」を活用し、地域が一体となって、下田グローカルCITYプロジェクトに掲げる国際性と地域性を活かした魅力的な教育環境の実現に取り組んでまいります。

(3)人が集い、活力のあるまち
 本市の基幹産業である観光関連産業は、新型コロナウイルスの影響が大きく、全国的な回復基調も他の産業より鈍い状況ではありますが、これまで以上に旅行に行きたいという意向が高まっていることから、首都圏等での観光PRのほか、SNSの活用や下田ロケーションサービスによるロケ誘致等により、本市の魅力発信と認知度の向上に努め、来遊客の増加を図ります。
また、感染リスクを避けるため、オフシーズンの旅行や近場で密集しない観光地を希望する傾向が増えており、地域資源を活用した体験プログラム、スポーツ合宿や大会の誘致、ワーケーションの推進等により、通年型観光の実現と高付加価値のサービス提供による新たな観光スタイルの構築に努めてまいります。
 農林業については、女性や高齢者でも取り組める獣害対策講習会の実施に加え、ICT機器付き罠の設置数を増加し、地域が一体となって防除と駆除の両面での鳥獣害対策を進めるほか、椎原・北湯ヶ野地区をモデル地区として森林経営管理権集積計画を策定し、森林環境譲与税や森林経営管理制度を活用した森林整備を促進します。
水産業については、機能性表示食品制度を活用したキンメダイの高付加価値化や、伊豆漁協が実施する下田市魚市場海水処理施設改修工事に対する助成を行い、水産物の品質や安全性の確保を図ります。
 このほか、静岡県が実施するふじのくに出会いサポートセンター事業を活用した結婚支援や、市内事業所等との連携によるまちじゅう図書館事業の実施により、人の交流機会や交流場所を創出し、にぎわいのあるまちづくりを進めてまいります。

(4)安全・安心なまち
 自然災害への備えとして、災害用備蓄品の購入、田牛地区の堤防嵩上げ整備に向けた基本設計、加圧式給水車の整備、実災害をイメージした救護所訓練の実施等、ハード・ソフト両面での防災対策を進めるとともに、地域防災の要となる消防団について、団員の処遇改善や部の統廃合による組織編成、大沢・横川・白浜地区への小型ポンプ付軽積載車の配備を行い、地域に適した消防団活動を推進し、地域防災力の強化を図ります。
 また、災害対策の新たな取組として、大規模地震等の発生に備え、被災後の混乱した状況下であっても、迅速な復旧・復興を図り、地域の持続性を確保するため、事前災害復興まちづくり計画の策定に着手いたします。
 医療・福祉については、不妊治療費助成対象者の拡充及び不育症治療への支援とともに、多胎妊婦健康診査を新たに開始し、産前・産後ケアや母子健康管理を強化し、妊娠・出産・育児への切れ目のない支援を実施します。
 また、特定健康診査の自己負担金無料化を継続し、受診率の向上による重症化予防を図るとともに、フレイル状態に着目した疾病予防や介護予防と連結した生活機能の改善に取り組み、市民一人ひとりの主体的な健康づくりやそれぞれのライフステージの課題に応じた健康づくりを推進し、健康寿命の延伸を図ります。
 このほか、第1次救急、第2次救急医療体制の充実と第3次救急医療との連携推進による地域医療体制の強化、高齢者の社会参加や健康増進を目的とした居場所づくりにも引き続き取り組み、市民の皆様が安全・安心な暮らしを実現できる環境整備を進めてまいります。


6 おわりに
 以上、令和4年度の所信の一端を申し上げました。依然としてコロナ禍の厳しい状況が続いておりますが、令和4年度は、市制施行100年を見据えて次なる未来に向けた一歩を踏み出すこととなります。
 自らを省みる健全な批判精神と他者への敬意を胸にとめながら、「挑戦する勇気」をもって新しい政策にチャレンジしていきたいと思いますので、皆様の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。



 以上、令4年度の施政方針とさせていただきます。 

下田市長 松木 正一郎

令和4年度施政方針(pdf 8,236kb)←PDF版はこちらからご覧ください。
 更新日:2022/03/23
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